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我家のお宝調べ
伊勢利の味噌味
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作成日時 : 2009/01/09 21:44
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仁三郎は、味噌の香りに、誘われるかのように歩いて行くと、左右に穴太積みの石垣の上に建つ、幾つもの大蔵が見えて来た。
左手には、七つの味噌蔵。右手には三つの文庫蔵。そのどれもの蔵壁に、御影石に彫り痕鮮やかな「伊勢利」の屋号である「山一」が、嵌め込まれている。味噌蔵には大樽に仕込まれた数多くの熟成味噌が出番を待ちながら眠りについている。
蓮光寺の和尚様から聞き知った事ではあるが、伊勢利の当主は、代々書画骨董にも明るく、文庫蔵に所蔵された逸品の数々は、それは大変な代物ばかりで、狩野派の超一級品が、所狭しと並んでいたとの事である。
一例では、狩野元信筆「花鳥人物円屏風一双」 橋本雅邦筆「裏金地山水図屏風一双」などや、焼物では、青木木米の器、七賢人茶碗等の煎茶器にも良い物が在るとの事である。
さて、その文庫蔵に守られる様に「伊勢利」の店構えが見えて来た。江戸随一の味噌屋の大店の名に相応しい、豪壮な中にもしっとりとした落ち着きのある正目の檜材を使った間口二十間、奥行き十間はあろうかと思う、店構えであった。
手代に、用向きを伝えると程なくして伊勢利の大番頭の青木栄次郎が、出迎え足盥を使った後、応接の間に通された。末座に控え、しばし、当主を待つ間、何気なく床の間の柱を見ると、太さ三寸はゆうに超えるかと思はれる南天の床柱であった。
世に聞こえた、金閣寺(鹿苑寺)の南天床柱より、太く、二つと無い「稀有な南天床柱」であった。こんなところにも贅と粋を組み合わせた当主の趣味が伺えた。
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